日本製生地の品質で世界と勝負! 名古屋で生地加工業を営む増田和久さん

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増田 和久

【プロフィール】 年齢: 45歳 / 株式会社マルジュー・代表取締役 / 生地加工および繊維製品企画・製造・販売 / 愛知県名古屋市

創業90年。繊維加工業だけでは生き残れない。海外販路を広げていく

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‐はじめに、会社の概要について教えてください。

創業から90年、生地加工の製造業の会社です。祖父が創業し私が3代目ということになります。私自身は27歳から会社に入り、33歳の時から社長をしています。パートさんも含めて従業員は20人ほどで、年商は約3億です。製造工場、販売、倉庫など全て名古屋の本社で操業しています。長年にわたり生地の染色など繊維加工を専業にしていましたが、時代の流れで取引先の海外移転が進んで国内加工の需要が減り、東南アジアなどに押されて受注が減る一方だったため、10年位前から自分たちのオリジナル商品も開発し、販売するようになりました。

‐海外へ目を向け始めたのはいつ頃ですか?

3~5年位前からのことです。やはり繊維製品は特に中国にどんどん生産シフトが進み、安い中国製品に押されっぱなしだったので、自分たちの商品も海外へ販売していく可能性はないのかと考え、中国の展示会などにも何度か出かけて販路を探るようになりました。

‐いろいろな商品を企画し製造・販売されていますが、海外向けにはどんな商品の販売を考えていますか?

綿100%のガーゼの素材を使った商品を販売していきたいと思っています。ガーゼ生地を用いたベビーケットやハンカチなど柔らかく肌に優しい商品が当社の強みです。ガーゼ生地というのは繊維の中ではローテク製品といえるもので、新たに大規模な設備投資をすればどこの国でも作れるようになるハイテク製品ではありません。ローテク製品は優れた品質で均一に生産する日本の技術や管理能力の高さが生かせる分野なのです。特にベビー向けの商品は安全性や素材の良さなどが重視されるので、そういう品質の良さをアピールしていけば、海外製品より多少高くても受け入れられるのではないかと期待しています。

ガーゼケット‐今後の展望として、海外向け製品についてどんな販売戦略をお考えですか?

自分たちが日本で開発した商品をそのまま海外に持って行って自分たちの売りたいものを販売したのでは、ただの自己満足に終わってしまいますから、当社が生産可能な製品でどんなものが海外でニーズがあり受け入れられるのか、そこから検討しているところです。今後は、海外の用途やデザインの嗜好を把握したうえで需要のあるものを日本の技術で品質良く作っていき、できれば、海外の一般の人が日常的に使うような製品を生産していきたいですね。

‐現在、楽天などインターネットの通販サイトなどでも販売を手掛けていらっしゃいますが、増田さんの代になって始められたということですよね?

はい。私の代になってから、手掛けるようにしました。もともと当社は繊維加工の専業でしたので、生地を預かって加工する繊維商社の下請けとしての加工賃で100%会社の収益を上げていたのですが、消費者向けのオリジナル商品を企画・製造・販売を始めて、現在加工での収益は全体の35~40%で、残りの60%は消費者への販売や卸売りが占めるようになっています。この先は3~5年位で海外にも販路を広げていきたいと考えています。

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‐海外へ販路を広げていきたいと考えるようになったきっかけは何でしたか?

通販である程度の売り上げが上がるようになった頃、東京の商社の方から日本のインターナショナルギフトショーの上海版が開催されるので、中国の展示会に出展しないかと誘われたことが大きなきっかけでしたね。その時は出展するつもりはなかったのですが、多少なりとも可能性があるのか確かめるために2泊3日で上海の展示会を見に行ってみたのです。そこで、もしかしたら期待できるかもしれないという感触を覚えたので、次の機会では実際に出展してみました。やはり展示会に出すと色々な反響を得ることができ、海外の方にも興味を持ってもらえたので、やりようによっては海外へ販路を広げることもできるかもしれないと現実的に考えるようになりました。

‐販路を広げる国として具体的にターゲットはありますか?

ずばりシンガポールです。インチキも誤魔化しも無く至極真っ当に商売ができる貴重な国だと思うのです。まだまだアジアの他の国では裏の駆け引きがあったり関税率を高くかけられたり…ルールがはっきりしないような不透明なところが多々あって不測の事態が起こりやすいのが商取引を行う上で大きな障害になってしまいますから、シンガポールのように民度が高い国に販路を広げることを当面の目標にしています。欧米については地理的に距離があるので…今後可能性があるとしたら、シンガポール等を拠点にして世界各国への販路も探っていきたいです。

‐最後に、海外での販売について、現時点での目標を教えてください。

3~5年以内には毎月コンスタントに海外からの注文が入るようにしていきたいですね。百貨店などで販売するというよりは、パートナー企業や代理店に品質の良い製品を卸すことで消費者向けの販売ができるようにしていこうと思っています。